Realtime:kiss
今年のゴールデンウイークは暦通りで、でも発つ前に言ってた通り、蒼佑は一日も帰っては来なかった。
そういう事も覚悟はしてはいたけど、いざとなるとやはり色々と考えてしまう自分が居て。
何とも情けない……
ふぅ…
荷造りも終わり、閑散とした自室を立ち上がって眺めていたその時、チャイムが鳴った。
目覚まし時計を見ると時刻は23時少し前である。
こんな時間に誰?
インターホンの受話器を上げると、モニターに映し出されるその人物…
「早く開けろ」
「…うん」
「お前さぁ、何で電話、かけて来ねぇの?
ったく、引っ越しの事だって、圭吾経由で知るって、あり得ねぇだろうが…」
部屋に入るなり、ブツブツ文句を並べ立てる。
「……」
「…これ、奈緒一人で荷造ったのかよ…」
リビングに所狭しと並べられた荷物を見て、少し驚いた感の蒼佑。
「明日、何時にくんの?引っ越し屋」
「…向こうの都合で、12時…」
少し何かを考えてから、私に笑いながら言った。
「分かった」
その夜は一つの布団で、寄り添うように抱き合って眠った。