Realtime:kiss
蒼佑の左腕にギュッとしがみついた。

「うん……ありがと」

それからさほど離れていない私の実家に向かう為、電車に乗り込んだ。




ピポーン…


何だか不思議な感じ。

いつもはチャイムなんか押さずにズカズカと上がり込む実家。


そんな私が実家のチャイムを押している。


『はぁい。どちら……なんだ、奈緒じゃない、どうしたの?
こんな早くに…あんた今日……』


インターホンから聞こえていた母の声が止まる。

『すすすぐに開けるからっ!』



ッ……チョットオトオサン、ハヤクキガエテ!ナオガイケメンクンツレテキタ!ハヤクゥ!バタバタバタ…



ったく、外まで丸聞こえだっつうの…



「楽しいお袋さんだな」笑いをかみ殺しながら私を見る蒼佑。

やだ!もぉ、恥ずかしいったら…



バンッ


「いっ、いらっしゃい、イケ…じゃないや、碕岡さん」



っ!!!!私はキッと母を睨み付けた。


今、イケメン君って言おうとした!


もおぉおっ!



「おはようございます、こんな朝早くから、突然お邪魔致しまして…」







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