Realtime:kiss
「改めて、お願い致します。
私が留守にしている間、私の家での生活をお許し頂けませんか…」


ソファではなく、フローリングの床に正座をし、父に軽く頭を下げた。


止めて、そんな事、しないで…

私は蒼佑に駆け寄ろうとしたけど、母に捕まった。

母を見ると、笑顔で首を左右に振られた。

「イケメン君の言う通り、ここはイケメン君に任せよ?」



「碕岡君と、言ったかな」

不意の父の声に、一斉に父を見る。

「はい」

蒼佑は返事をした後、父の言葉を待っている。


「親御さんは……君の親御さんは知っているのか?」

「……私の両親は幼い頃亡くなりました」


「!!!っそれはすまない事を聞いてしまったな、悪かったね……
今、この場で、奈緒が居るこの場でこんな事を聞く、馬鹿な親だと笑ってくれて構わないんだが、その…君は…奈緒をどうしたいんだ?」


開いた新聞から目を離さず、そんな事を言う父。


しばしの沈黙の後、父から目を反らす事無くこう切り替えした。


「…それは、将来的に、と言う意味でしょうか」


父は黙って頷いた。





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