Realtime:kiss
私をジッと見つめながら蒼佑はそんな言葉を紡いだ。


「…蒼佑…」

目の奥がツーンと熱くなる。

「…知り合ってまだ半年ですが、そんな時間以上に奈緒さんを大事に思っております。」

「……男に二言は無いな?」

父が私達を、ううん、蒼佑を見据えてそう言った。


「…はい」

すると、父はソファから立ち上がり、蒼佑に右手を差し出した。

「み、認めた訳じゃないからな?暫く、様子を見させてもらう、だけだからな?
もし、奈緒が泣くような事でもありゃあ、その時は、分かってるね?」

照れているのか、視線を蒼佑から外し、そう言った。


「ありがとうございます」

蒼佑は、差し出された父の右手に自身の右手を重ね合わせた。


「奈緒を……頼むよ……」

消え入りそうな声でそう言った父。

そんな場面を目の当たりにし、私は不覚にも涙を零してしまった。



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