Realtime:kiss
「ゴチャゴチャうるさい!
あたしは蒼佑の体の事、心配して、今、ハンドル握ってるの。
あたしの事、信用してないでしょ?
そりゃ、慣れない車の運転で、色々言いたいのは分かるけど、もうちょっと信頼してよ」

「…オッケー、分かった」

少し間を置いて蒼佑が了解した。私は静かに車を発進させた。




会場となる、相川家が経営するホテルに到着するまで、蒼佑は、私の運転に関して、何も言わなかった。


ロータリーで車をホテルの従業員に預け、私達はホテル内にあるチャペルに向かう。


「蒼佑?ちょっとじっとして?ネクタイが、いがんでる」


エレベーターの中で、あまりに無口な彼に、居ても発ってもいられず、そう声をかけた。


「ん?あぁ、悪ぃ…」


そう言って、私が直しやすいように少し、屈んでくれた。


別段、怒ってる訳でも、機嫌が悪い訳でもないみたい…


ネクタイを直し終えると、サンキュ!と、私の髪に軽くキスをした。


首を捻りながらいると、エレベーターは、目的の階に到着した。







< 234 / 266 >

この作品をシェア

pagetop