Realtime:kiss
会場に足を運び込む。


式の一切を仕切る相川家に、碕岡のお爺さんは面白くないと、蒼佑にこぼしていた事があったが、流石、餅屋は餅屋。素人の私が見ても、一切の無駄が無いほど、完璧な応対だった。



滞りなく式は終わり、その後の披露宴でも、彼らは本領を発揮していた。





「爺様は気に入らないって言ってたけど、これで良かったんじゃねぇの?いい式だったよな?」

「うん、いい式だった。馨子さん、綺麗だった…
お兄さんと蒼佑、似てるから、一瞬ドキッとしたけど…」



お酒を嗜んで、車の運転が出来ない私達は、相川家の計らいで一部屋とって貰った。


普段着に着替え、少し横になりながら、二人そんな話をした。



「そう言えば、奈緒の誕生日、今月じゃねぇの?」


「あっ、うん……蒼佑は?誕生日、いつ?」


情けない話だけど、私は蒼佑の誕生日を知らない。


「…信じらんねぇ…
普通彼氏の誕生日位、知ってるだろ?」


「だって……」

返す言葉が無い。


「まぁいいけど…で、いつだっけ…」

「え?」

「俺も実は知らねえし……」


………こんなもんです、私達は…




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