Realtime:kiss
さて、何を買おうか、私は思案しながら、先ずは紳士服売り場に向かった。


「ネクタイは、在り来たりだしなぁ……
ワイシャツは…ダメだ、首周りが分かんないや…
う~ん、どうしよっかなぁ…」


ブツブツ独り言を言いながら、歩いていると、誰かとぶつかった。



「…すっ、すみません…」


肩からかけていたバッグが落ちた。

それを拾いながら顔を上げると、私は絶句した。




「…お久しぶり……」

「…………」

「…口も聞きたくないくらい、あたしが憎い?」


「…あさの…さん…」

「あら!名前は覚えて居てくれてんだ…」



今目の前にいるのは、数ヶ月前、私に怪我を負わせた、浅野涼子が立っていた…



「…もし、時間があれば、その…そこのカフェで、少し話せるかしら…」

少し言いにくそうに、私を誘う浅野さん。


私は、少し考えてから口を開いた。

「少しなら……いいですけど…」



そして私達はカフェに入っていった。






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