Realtime:kiss
ブレンドを注文した後、暫く続く沈黙に耐えきれず、口を開いたのは私だった。


「…元気にしてた?」

当たり障りのない言葉が彼女の感に障ったのか、鋭い眼差しで睨み付けられた。

「…余裕の発言ね。
こっちは誰かさんのせいで踏んだり蹴ったりだっていうのに……元気かですって!?」

ドキドキ、心臓が鼓動を打つ。


「まぁいいわ…あれからアンタとはもう一度話がしたかったのよ。
アンタ、蒼…碕岡さんと……
あの時…アンタ達付き合っていたの?」


言葉を選びながらなのか、何度となくつっかえながら私の顔から視線を外す事なく、質問してきた。

「付き合ってはいなかったわ」

私はキッパリ言い切った。


「じゃあ今は?
入り口で見たけど、今はそういう仲なんでしょ?」

この子は一体、何が言いたいのだろうか…


「話って、それだけ?だったら私、失礼するわ」


財布から千円札を取り出し、テーブルに置いて立ち上がる。



「…知らぬが仏って言葉、知ってる?
あの日本当にあたし達、何も無かったとでも思ってる?」



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