Realtime:kiss
「はい・・・」
「俺だ、蒼佑。出られるか?」


モニターに映し出された奴は、紛れもなく碕岡蒼佑であった。


「ねぇ、どうしても行かなきゃ、ダメ?」

「・・・とにかく、降りてこい」


ったく、やっぱ、コイツとはいえ合わない、水と油だよ、きっと・・・


降りていくと、エントランスには奴の姿はなく、私はマンションを出て、通りを見た。


黒いスポーツセダンの車に寄りかかり、煙草をふかしている男。


私服姿の碕岡蒼佑だ。

かっ、かっこいい・・・

不覚にも私は一瞬そう思ってしまった。


「よっ」私に気付いた奴は右手を上げ、吸っていた煙草を携帯灰皿にねじ込んだ。

常識はあるらしい。


「・・・おはよ」


「お前それ言うならこんにちはだろうが。もう昼だぞ?」

ったく、減らず口ばっか。


「で?用って何」


「特にはない」

コイツ・・・私の事、舐めてる。


「あっそ、用がないなら帰る。
じゃあね」


私は本当にこれ以上コイツに関わりたくないと思った。







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