Realtime:kiss
蒼佑はそう言って、携帯を切った。


はぁ…
明日から旅行なのに………

浅野さんの言った事なんか、無視すればいい……

私は自分にそう言い聞かせて、店を出た。


どうしよう…


私は蒼佑に贈るプレゼントの事だけに集中しようと必死だった。

蒼佑の顔を思い浮かべながら…


ふと、人だかりが出来ている売り場が目に留まる。


何があるのだろう…


私はその売り場に足を向けた。


フレグランス…香水の香りが辺り一面に漂っていた。


その中の一つを手に取り、スゥッと息を吸う。


「ジ・ワン…」


独り言のように、パッケージに書かれている銘柄を口にした。



「プレゼントでございますか?」店員さんに声をかけられた。

「はい……」


「お客様が今手にしてらっしゃるのは、ビジネスシーンでお使い頂いても、嫌味のないスパイシーな香りです」


凄くいい香りがした。


私はパッケージのありとあらゆるところを見、値段の確認をしようとしたが、どこにも表示されていなかった。


仕方なく、店員さんに値段を聞いた。





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