Realtime:kiss
「あんなに分かりやすい場所にあったのに、なぁ…ほらケーキ、買ってきた。飯の後で食おうぜ」


勢い良く立ち上がると、キッチンへと入っていく蒼佑。


冷蔵庫からキャベツを出し、それを私に見せた。


「お好み焼きにすっか。奈緒、キャベツ切って」

言うと同時にキャベツを私に投げてきた。


慌てそれを受け取る。


ニコニコしながら、私を見ている蒼佑。


今日見たあの事は紛れもない事実で、でも、今私に向けられたこの笑顔は嘘じゃないと思える。


浅野さんが言ってた事はもしかしたら本当かも知れない。


でも、信じよう、私は蒼佑が大好き。


過去のトラウマに捕らわれるのなんてバカバカしい。


私はソファから立ち上がると、うんと頷き蒼佑の元に駆け寄った。



「奈緒?、何でネタにキャベツ入れねぇの?
ってか、キャベツ、みじん切りじゃねえじゃん」

「…だってうちは広島風だもん」


「えぇえ!?お好み焼きっつったら関西風だろ?」


「広島風だってば」





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