Realtime:kiss
「ねぇ、蒼佑?どうしたの?
大人しいねぇ……」

私は何も言わずに座る蒼佑に、一抹の不安を覚え、思わず聞いてしまった。


「…黙って運転しとけ……俺はまだ死にたくねぇ……」



なんですって?


「それ、どういう意味よ……」


ちらちらと助手席を見ながら不満を言ったら、蒼佑に怒鳴られた。


「前!前見ろよぉ!?
あぶねぇなぁ、スピード出てんだから、視線外すなってぇ…」


シートベルトを左手で少し引っ張りながら身を乗り出し、叫ぶ蒼佑、なんか悲しくなってきた。


そんなに下手だとは思わないんだけど、そんな態度取られたら、自信無くしちゃう…


とにかく、次のサービスエリアまで、頑張って運転しよう。



「別に奈緒の運転がどうって訳じゃないんだぜ?なんつうか、タイミング?
ブレーキ踏むタイミングが違うんだろうな、だから体が強張る、悪ぃな…」


缶コーヒーを買って、車にもたれながら蒼佑が言った。








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