Realtime:kiss
「そっか……でも、なんか分かる」

少しショックだったけど、こればかりは仕方ない。

慣れて貰うしかない……


「俺の運転、ちゃんと見て、覚えろよ?」

えっ?

「練習しろよぉ」

………出たよ、俺様…

「奈緒はさぁ、ブレーキ踏む回数、多すぎな訳…
ある程度車間距離取ってんだから、急なブレーキ、踏まれても、シフトダウンすりゃあ、エンブレかかる。
ブレーキ踏まなくてもブレーキかかるんだぜ?
ほれ、見とけよ?」


蒼佑はそう言いながら左足でクラッチを踏み込み、オーバートップからトップに、少し間を置き、またクラッチを踏み、更にトップからサードにシフトダウンした。


タコメーターの回転が上がる。


エンジン音も高くなる。


回転数を合わせるためアクセルを軽く踏み込む。



「こんな感じ、分かるか?」


凄い……


こうやってハンドルを握る蒼佑は、何よりカッコいい。

私はそんな蒼佑をうっとりと眺めていた…


「こら、奈緒?聞いてる?」


「えっ?ごめん、何だっけ・・・」


「・・・ったく、人の話、聞けっつうの」




目的地までの車中は・・・こんなもんです・・・










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