Realtime:kiss
「もういいのか?」

私の返事より早く、答える前に蒼佑はこちらを向いた。


「きゃっ、ばかばかばか!まだいいって言ってない」


私はそう言いながらお湯を蒼佑にバシャバシャかけた。


「こら、なぁお。止めろって……こぉら」


腕を蒼佑に掴まれ、身動きが取れなくなった。



「ったく…あぁあ、いい男が台無しじゃん…
ってか、何タオル巻いてんだよ」


蒼佑は私の体に巻き付いているバスタオルを凝視しながらそう言った。


「だって……やっぱ、恥ずかしいんだもん…」


掴まれた腕をそっと振り解いて、私は蒼佑に背を向けた。



「…綺麗…蒼佑?夕日が沈むよ?」


地平線に沈み行く太陽の美しさに思わず声を上げた……



!!!!!!



いきなり背後から抱き締められた。


そして耳元で囁かれた…


「そうだな…本当に綺麗だ。
奈緒と、こんな風に穏やかな気持ちで景色を楽しめるなんてな……」



そして頬に軽くキスをされた……



普段聞き慣れない言葉を聞いて、私はゆっくりと蒼佑の方を見た。






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