Realtime:kiss
「で?マナマナだっけ?」

「え?あぁ、うん、でも、今日じゃなくてもいいや・・・」


あれからあの料亭の奥にある女将さんらしき女性の部屋で、私は今ハンドルを握り運転している、碕岡蒼佑の生い立ちを聞かされたんだ。



波瀾万丈とは、こういう人生をいうのかと思った。



「何?やっぱ、あの話で引いちゃったか!?
まぁ無理はねぇけど、」


「ううん、そんな事、ないよ」


「なら、付き合え、俺、腹減った」


ったく、俺様なのは健在だな。


「んじゃあさぁ、いっちゃん高いコースで、よろしく」

私はちょっとおちゃらけてそう言った。


「おぅ、任せとけ」


それきり二人は会話は無く、カーステレオから流れてくるポップス系の音楽だけが車内に響いていた。



「今日は悪かったな、けど助かったぜ?」


「それはどうも、じゃ・・・」


家の前まで送ってもらい、車を降りようとした私の腕を碕岡蒼佑は引っ張る。


バランスを崩し、変な形で碕岡蒼佑に体を預けてしまう。


「ちょ、危ないでしょ、何度言ったら・・・っ」








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