Realtime:kiss
「陽子、あたし、やっぱ、帰る!」


バンとテーブルの上に千円札を叩き置いて、私はそのまま立ち上がり店を出た。


「ちょ、奈緒お!?」

後ろで陽子の声が聞こえたけど、そんな事知ったこっちゃない。


信じらんない、アイツにはデリカシーってもんがないのか。


「おい、待てよ!おい、奈緒、待てって!」


店を出て、数メートルも行かないところで奴に捕まえられた。


なんで追ってくんのよ、バカっ



「放してくれない?」

私は下を向いたまま奴に言った。

「おまえ、大人気な……」

奴は言いかけた言葉を途中で止めた。


不思議に思い、顔を上げると、奴は私ではなく別の方を見ていた。


その先を辿ると……


「まだ、その女とままごと、してるの?
いい加減にしなさいよ」


!!!!!!!

胸くそ悪い、相川という女が、黒いハイヤーの後部座席から顔を覗かせていた。





歩道と車道で睨みを利かせる二人……




「どこからつけてたんだ?」





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