Realtime:kiss
「あら、人聞きが悪いわね。
今夜はあたくしが先約だったはず…
なのに、あんたはまだこんな貧乏くさい女と貧乏くさいあんな店で……」


「大きなお世話だ!
失せろ、ストーカー女が!」


ひっひえぇぇえ……


ふっ、二人とも、怖いですって……


私は奴に肩を掴まれたままじっと動向を伺うしかなかった。


バンッと大きな音がして、あの胸くそ悪い女が車から降りてきた。


ツカツカッと私達の前にやってきたかと思うと、いきなり碕岡蒼佑の左の頬を叩いた。


「ひゃ…」

慌てて両手で口を押さえた。

キッと私達を睨み付け、「口の効き方に気を付けなさいよ?」


そして今度は私を叩こうとしたのか、彼女の右手が私の顔面に迫る。


やられる……

反射的に目を瞑った私…

あれ?痛くない…


「放しなさいよ!何でこんな女!」


彼女の右手は碕岡蒼佑の左手に阻まれ行き先をなくしていた。



「良いこと!?今回は見逃してあげる、けど、次はないわよ」


捨て台詞を残し、彼女を乗せた車はどこかに姿を消していった。







< 43 / 266 >

この作品をシェア

pagetop