Realtime:kiss
何故だろう。
私は泣いていた。
何故だか分からないけど私は泣いていた。
「俺は今でも信じられない。
あの優しかった叔母がそんな事するなんて・・・
仮にもしそれが事実でも、きっと叔母は父さんの事を愛していたから、だから・・・
俺はそう思いたかった。
あれからもう3年が経つ。
俺は貴がどこで何をして暮らしているのか、凄く心配で、ずっと探し続けていたんだ、貴には責任はない、爺さんの後を継ぐのに、俺は相応しくない、だから敢えて就職をした。
探して探して、そしてやっと見つけた。
あの相川の経営するホテルで・・・
偶然だった、接待で偶然使ったホテルの最上階のレストランで、アイツはシェフをしていたんだ」
遠い目をしながら淡々と話す碕岡蒼佑が、私には痛々しくてたまらなかった。
「俺は貴に声をかけるべきか迷った。
あんなに会いたかった貴がすぐ側にいる。
けど、いざとなると・・・」
私はたまらず、碕岡蒼佑に近づき、思わず抱き締めてしまった。
驚いたように私を見上げた碕岡蒼佑は、一瞬泣きそうな表情を浮かべた。