Realtime:kiss
「奈緒ぉ、こっちこっち!」

エレベーターを降りると既に二人はそこに居た。

「ごっめぇん」
片手を顔の前に上げ、二人の元に急ぐ。

「んじゃ、行こう」
「?どこに行くの?」

私が問いかけると、二人は顔を見合わせ、ニヤッと不敵な笑みを浮かべた。

えっ?・・・

何か企んでる・・・この二人。

瞬間的に身の危険を感じた。

「あぁあ、あたし、急用思い出した・・ごめんねぇ、帰「さないよぉ、主役が居なきゃ、話になんないでしょ?」

そして、私は二人にズルズル引きずられるように会社を後にした・・・




私が連れてこられたのはこ洒落た多国籍料理のお店だった。


両脇を二人に抱えられ、さながら犯人連行の図、みたいな?


「ちょっと!そんな事しなくても逃げやしないわよ」

まぁまぁと軽くあしらわれた・・・





店に入ると、奈津紀がキョロキョロし出す。

「あっ、居た居た、圭吾」

えっ?圭吾?って山中さん?

何で山中さんがここに?


奈津紀が見ている方を見ると、山中さんがこちらを見て、柔らかい笑顔を零した。

私の意思とは関係なく、ズンズン奥へ進んでいく・・・


「ごめんねぇ圭吾、せっかくのイブ、あたしの我がままで・・・」
「いいさ、またには、大勢でワイワイ飲むのも良いじゃん」

いつもの如く、胡散臭いぞ、この男。


はめられたな、と私は山中さんを見てそう思った。

何だよ、奈津紀ってば、私の失恋パーティだとか言っといて、山中さんとのラブラブっぷりを見せつけたいだけじゃん、なんて心の中で突っ込んだりして・・・




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