Realtime:kiss
隣でヒィヒィ言いながらお腹を抱えてる。

もぅ、知らないんだから!

私は車窓から外の景色に目をやり、奴を無視する事に決めた。


「あっ、運転手さん、ここで」

不意に蒼佑がタクシーを止めた。

えっ?どこ?ここ・・・降りるように促され、仕方なく私はタクシーを降りた。


その後を続いて降りた蒼佑は私の右手を掴み、無言で歩き出す。


「どこ行くのよ」


私の問いに蒼佑は何も答えず、ただひたすら黙って黙々と歩いた。


五分ほど歩いたであろうか、一件の家の前で立ち止まる蒼佑。


「ここ、俺ん家」

空いてる右手でポケットを探り、鍵を取り出すと、門扉を開け、中に入っていく。


えっ、えぇえ!
どういう展開!?


「とにかく中に入れ」

鍵を開け、中に入るよう強要された。



あたし・・・これから・・・どうなるの・・・


「お邪魔します・・・」

とは、言ってみたものの、私は玄関から一歩も踏み出せないでいた。


一つの部屋からひょっこりと顔を出し、「そんなとこで突っ立ってると冷えるぜ」などと憎まれ口を叩く。





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