Realtime:kiss
その後、何事もなかったかのように、私をソファーに座らせ、自分はキッチンへと姿を消した。


暫くすると、マグカップを二つ、右手に持ち、ポテチの袋を左手に持って戻ってきた。


「お前、砂糖は?」

私に手渡しながら尋ねてくる。

「ありがとう、私いらないけど……」


自分の分のカップをテーブルに置き、私の隣にドカッと腰を下ろした。


「なぁ、マジで俺と付き合わねぇ?」
ドキッとした。


そろりと隣の蒼佑を横目で盗み見た。


「あれ?このポテチの袋、開けにくい。
お前、これ開けろよ」


ムードも何もあったもんじゃない。

渋々袋を受け取り、サッと開けてしまった私って……


「さっすがぁ、じゃあ、ご褒美……」


チュッ……私はサッと後ろに下がり、慌てて唇を両手で押さえた。


「何だよ、ご褒美だっつっただろうが」


ダメだ、心臓が暴れ出す。


「あっかぁい顔しちゃってぇ、案外乙女なとこ、あんだな、お前」



「あっあんたさぁ、あたしなんか、からかって、何が面白いのよっ!信じらんない」



< 55 / 266 >

この作品をシェア

pagetop