Realtime:kiss
電話は陽子からだった。


あれから数時間、私から何の連絡もない事に業を煮やし、かけてきたのだった。



『奈緒?いい加減にしなよ!?
あたしがどんだけ心配したと思ってるの。
……碕岡さんがあんたの後追いかけてったけど、会えた?』


今隣にいますとは言えない私は、「うん、会えた」とだけ、答えた。


『年明けまで会えないんだから、一応、挨拶しとくわ、良いお年を、ね?

じゃ、またね、お休み…』


「うん、陽子も良いお年をね、お休み……」


通話を終了し、私はいつまでもここでこんな事をしているわけにもいかず、ソファーから立ち上がった。


「コーヒー、ごちそうさま!帰る」


それだけ言うと、鞄を鷲掴みにし、玄関へとダッシュを試みた。



玄関でパンプスを履き、挨拶をしようと、振り返った。


振り返った私の視界は真っ暗で、状況を理解するのに少し時間がかかった。


玄関土間に降り立っていた私の顔の位置に碕岡蒼佑の腰辺りが……








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