Realtime:kiss
奈津紀が止めてくれたタクシーに乗り込み、運転手さんに行き先を告げてくれる友人二人に、ありがとう、行ってくる、と言い終わると陽子がドアを閉めた。


私の不安な気持ちを乗せて走り出す……



支払いを済ませ、タクシーから飛び出す。


蒼佑、蒼佑……


さっきの山中さんとの電話のやり取りが思い出せない。


事故って言ってた?

怪我ってどんな?


ダメだ、全然思い出せない……


どうしよう…


命に関わるような事にでもなっていたら……


やだ、考えたくない!


どこになんて聞けばいいのか分からず、周りをキョロキョロしていると、看護士の女性が声をかけてくれた。



「あなた、顔色悪いわよ?どうかされました?受診なら…」

「あのっ!少し前に住菱商事の男性が運ばれ…」「奈緒ちゃん」

後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。


私は振り返り、相手を確認し、声をかけてくれた看護士さんに一礼をして、山中さんの元に急ぐ。


「山中さん、碕岡さんは?」


山中さんに詰め寄っていると、すぐ横の受診室のドアがスゥっとスライドした。




「お仕置き、決定だな」


そんな憎まれ口を叩きながら蒼佑が現れた。

っ!!!!!!!


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