Realtime:kiss
山中さんがどんな気持ちで連絡してくれたか、まるで考えていない蒼佑の、その口からその行為を否定する言葉が出た事に少し苛立った。


「おまたせぇ…って、何?この微妙な空気…」


「あっ、ありがとうございます」


敢えて山中さんの言葉には反応せず、コーヒーを受け取る。


「奈緒ちゃん、コイツから事の経緯、聞いた?」

椅子に腰掛けながら山中さんが聞いてきた。

私はいいえと首を左右に振った。

「ふぅ……蒼佑?話せよ、奈緒ちゃんに……」

「はん、余計なお世話だ」

山中さんは、ヤレヤレといった風に片手を広げて、私を見て苦笑いした。


「山中さん、聞いても良いんですか?」

山中さんは横目でチラッと蒼佑を見、静かに口を開いた。


「外回りの途中だったんだ。

商談も案外スンナリ決まってさ、ちょうど昼前だったから、少し早めに昼飯にしたんだよ。


店出て、すぐの交差点で信号待ちしてたんだ。


そしたら蒼佑が車道に倒れ込んだ……」







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