Realtime:kiss
「本気でそんな事言ってる?信じらんない。
あたしの話した事、ちゃんと聞いてた?」


「……」



奈津紀がポケットから携帯を取り出し、一通のメールを私に見せた。


「とにかくこれ、見て?」


携帯を受け取り、画面を見る。


そこには、山中さんからのメールが映し出されていた。


《奈津紀?悪いんだけど、蒼佑から奈緒ちゃんへの伝言頼めないか?


片は着いた明日、18時に土岐乃で待ってる


悪いな、奈津紀、奈緒ちゃんへ伝えて》



私は読み終え、静かに携帯を閉じた。



「………」



蒼佑からの一切の連絡を絶った私。
山中さんに相談でもしたのだろうか…
面倒見のいい山中さん、でも、私のIDやメアドを知らない。だから奈津紀に伝言を頼んだんだ。

かたは着いたって、どういう意味なんだろう。


メールを見た後、だんまりを決め込んでいる私に痺れを切らしたのか、奈津紀が口を開いた。



「奈緒?
あんたはまだ始まってないって言うけど、本当にそうなのかな?
だって圭吾も知らない蒼佑君のプライベートをあんたは見たり聞いたりしてるんだよ?

始める気が無きゃ、婚約者が居る事わかった時点で距離を置く事だって、出来たはずでしょ?」


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