Realtime:kiss
「それをあんたはしなかった。
蒼佑君が事故った時のあんたは尋常じゃなかった…」



「………」



「あたしも奈津紀に同感だよ。心に蓋をしちゃダメ!
トラウマがなによ、碕岡さんはそんな今までの男とは違うって、奈緒自身は分かってるんでしょ?
とにかくこんなやり方はフェアーじゃない。
会ってちゃんと話しな?」


「………」


何も答えられない。


ほんのひと月前知り合った碕岡蒼佑……


会う度に惹かれていったのは確か。


好きになるのは時間の問題、ううん、自覚する前からそうだった、と思う。


でも、彼には将来がある。


御曹司かなんだか知らないけど、実業家の祖父がいて、令嬢の婚約者がいる。


婚約者が居るのに、働く場所が違えど同じ会社の女子社員と、なんて、変な噂が流れでもしたら……



そうじゃない……?


私が困る?

婚約者のいる男性社員に手を出す…

そんな噂が流れて困るのは……

私?やだ……

きっとそうなんだ…


そんな噂が流れたら、きっと居づらくなって、会社を辞めなきゃいけなくなる。


辞めたくない、だから私は逃げる事を選んだんだ……



さいてい……









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