Realtime:kiss
静まり返る車中、そう、私は圭吾さんに借りたであろう白いセダンで自宅まで送られている途中。


「そう言えば、なんで俺からの電話、出なかったんだ?
先週末、話があるっつったろ?」



いきなりの問に、ドッキ~ン。


「ったく、手間かけやがって」

「………」


何も答えられない。


すると、道路の路肩に車を寄せ、パーキングにシフトし、ハザードを点滅させ、ライトを消した。


「なぁんでだ?答えろ、奈緒」


蒼佑が怪我したあの日、お爺さんから牽制の電話があった。

あの電話がなかったら、きっと私は蒼佑に会っていた。



「答えろ、奈緒。お前、何考えてる?」

サイドブレーキを引き、私の方に体を向け、右手をハンドルに乗せながら詰め寄る蒼佑。


黙ったまま、下を向き、何も答えない私に、蒼佑は続ける。



「心の視野が狭い、セコい男だと思われてもいい、俺は奈緒の事、何だって知りたいんだ。
どうなんだ?


……奈緒答えたくない、か……」




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