君が想い出になる前に
「え!?いーの!?
麻央ーー!ありがとう!」
なっちゃんの顔がパッと明るくなった。
HRも終わり、1時間もすると
みんな帰って教室は誰も居なくなった。
わたしは1人で、
窓からグラウンドの部活動の様子を見ていた。
ガラガラーー
突然教室に誰か入ってきた。
「あ、麻央、まだいたの?」
サッカー部のユニフォーム姿の惣右介だった。
「惣右介!お疲れー。
なっちゃん待ってるんだ。」
「蒼井さん?委員会か。
どっか行くの?」
「うん。駅前に新しくケーキ屋さん出来たから
行ってみようって約束してるの」
「へぇー。いいな、
美味かったら今度俺も連れてって」
また惣右介がいたずらっぽく笑う。
「惣右介、甘いの好きなんだ?」
「うん!好き」
「そうなんだぁ!あのね、なっちゃんもすごく好きなんだよ!」
「蒼井さん?…なんで蒼井さん?」
(あ、まずい。。
興奮してつい余計なことを…)
〜〜♫
PHSの単音の着信音が鳴った。