君が想い出になる前に
ーー「まーおー?」






「あ、うん。
なっちゃん、沖田くんと幼稚園から一緒だって」








「そうそう。
ガキの頃はあいつほんとに男みたいだったよ(笑)」







「そうなんだ。
たくましそうだね!(笑)」







「俺のこと、舎弟扱いだったし」






「えー!沖田くんが舎弟!?(笑)
なっちゃん強すぎーー!」










「あ、龍でいいから。」


突然、沖田くんの顔が真顔になった。




「え?」





「俺勝手に麻央って呼んでるし
俺だけ悪いじゃん。」







「ぷっーー
律儀なんだねぇ!(笑)」

意外すぎて、思わず笑ってしまった。







「じゃあ、俺こっちだから」



彼がまた優しく笑った。






「あ、うん。
じゃあね!龍…くん。」





やっぱり、呼び捨ては無理だった(笑)






龍くんの背中を見送りながら
わたしは自分だけ特別なものを見れたような気がして
クスクス笑いながら
龍くんの優しい笑顔を何度も思い出していた。









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