君が想い出になる前に
「うすーー」
突然、わたしの頭にポンっと
大きくてごつごつした手がのっかったーー
「龍くん!
今日は早いんだね!おはよー」
わたしは何故だか嬉しくて
自分でも、とびきりの笑顔で龍くんを
見上げてしまったのがわかった。
「おう。
昨日、お前がーー」
龍くんが何かいいかけて、やめた。
「?」
「珍しいね。
昨日、麻央と龍なんかあったの?」
なっちゃんがすかさずつっこむ。
「あ、昨日なっちゃんと別れたあと
龍くんと会ってーー」
「偶然会って帰り少し一緒帰っただけ。」
龍くんがわたしの言葉を遮って答えた。
チクン。
わたしはわけもわからなかったけど、
その言い方に少し傷ついてしまった。