君が想い出になる前に
ーーなっちゃん?
なっちゃんの惣右介を見つめる表情を見ていると
なんだかわたしまで胸が熱くなった。
ーーなっちゃん、もしかして…
(いや、余計なことを聞くのはやめよう。)
「なっちゃん、教えてくれてありがとう。
わたし沖田くんのこと誤解するとこだったよ。」
「あ、うん!
まぁ仲良くしてやってとまでは言わないけどさ、
せっかく可愛い転校生来たのに
怖がられてたら龍も可哀想だからさ!(笑)」
「え!?
ちょ、なっちゃん!!」
「あー、麻央照れてんの?
かーわいいー!(笑)」
なっちゃんは惣右介が好きなのかな。
そう思ったけど聞かなかった。
沖田 龍も松本 惣右介も
わたしが今日出会った人みんな
優しくて良い人たちのような気がしたから
そう教えてくれたなっちゃんのことも
これからちょっとずつ知っていって
みんなと友達になりたいな。
転校した学校がこの学校で良かったって
思えるように。
新しい学校、新しい友達の出逢い
こうして、わたしのこの街での生活が始まった。