抱きしめたい
何が起こったのか理解出来ないほど、一瞬の出来事だった。


でも次第に状況が判断出来るようになってくると、体が痛み出した。

力いっぱい握られた腕。
フローリングに打ち付けられた尾骶骨。

信じ難いけど、確かに真吾が・・・



「真吾?」



そこには今まで見た事も無いような鋭い目でわたしを見下ろしている真吾が居た。


「しん…」


少しずつ、ゆっくりと近づいてくる。





――怖い


この時初めて真吾にこの気持ちを抱いた。




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