【完】あたしのとなりの不良くん
美香はあたしの生き甲斐だった。
それは多分…話しかけられたときから。
「…っ、」
涙がコンクリートに落ちて、黒い模様をつくる。
美香を失ったあたしは、魂が無くなったかのように、死んでいた。
初めての大事な大事な友達ができた…。
それがとっても嬉しかった。
「でも、美香は…」
袖で涙を拭いて、顔をみた。
美香と目が合う。
「…本当は自分がいじめられるのが、こわかったんでしょ」
…誰かの噂で聞いた。
昔、美香はいじめられてたって。
あたしの言葉を聞いた美香は、目を見開いた。
「図星だね」
人間はやっぱり弱い…。
平気で人を裏切って、自分を守ろうとする…。
「ばいばい」
“「またね」”なんて言葉は使わない。
あたしと美香に“また”なんてものはないのだから。
あたしは、屋上の扉に手をかけた。