【完】あたしのとなりの不良くん


そこにあるのは、いつもと同じ景色。


違うことといえば…。



「すっげえ、ふかふかしてる!」



…海里がいること。


ピョンピョンとウサギのように、ベッドの上で跳ねてる海里。



「跳ねない。ほら、座って」



あたしは海里をベッドに座らせて、引き出しからドライヤーを出す。

コンセントをさして、海里の後ろに回り込む。

スイッチを入れると、ぶわー、と暖かい風が吹く。


あたしはドライヤーを片手に、わしゃわしゃと海里の髪の毛を乱す。



「気持ちーな!」



見えない海里は、きっと笑っている。


いや…絶対。



海里の髪の毛は、サラサラしていた。



「はい、終わり」



そう、終わりを告げて、あたしは自分の髪の毛を乾かそうとする。



…が。



「俺が乾かしてやるよ!」



バシッと、捕られたドライヤー。


目の前にいる海里はにこにこで…。



あたしは、生唾を呑んだ。





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