【完】あたしのとなりの不良くん
「うひょーい!」
ズボンを膝まで捲って、靴を脱いだ海里は海に入った。
あたしは海里の近くまで行く。
バシャバシャ、としている海里はニッコニコで楽しそうだ。
それを見ると、来てよかったと思える。
「千尋ー!気持ちーぞ!」
「そっか」
そりゃ、よかった。
あたしは砂浜を眺めた。
何故か、海に来ている人はあまり多くなくて。
「ちょっと、何か買ってくる」
「おー、分かった!」
ニッコニコで手を大きく振っている海里に、あたしは見送られた。
あたしは砂浜に出ている屋台まで行く。
そこの屋台はかき氷だ。
海里は…ブルーハワイとか好きそう。
バックから財布を取り出した。
「おじちゃん。ブルーハワイ1つとメロン1つ」
「はいよー」
ガー、と電動のかき氷機で氷を削り始める。
最後にシロップをかけたおじちゃんは、ストローとスプーンが合体したものを刺した。
「500円ねー」
財布から500円玉を取り出し、しわくちゃな手の平に落とした。
「まいどー」
「どうも」
差し出されたかき氷2つを、両手に持つ。
山盛りで今にもこぼれおちそうだ。