【完】あたしのとなりの不良くん
…ふざけんな。
ぐっと唇を噛み締めた。
そこからは血が滲み出て、口の中には鉄の味が広がった。
瞳からは涙がポロポロ溢れて、自分でも止めることが出来なかった。
「…千尋……」
海里の低い声が聞こえたと思ったら、いきなり腕を引っ張られた。
「…なっ、」
なにすんの、と言おうとしたけど、その声を遮られた。
見上げるとそこには、真っ直ぐゴールを、その黒い瞳で映し出している、海里がいた。
その姿にあたしは言葉が喉に引っかかってしまって、何も言えなかった。
海里の唇がゆっくり動いた。