【完】あたしのとなりの不良くん



「ぜってー、一番とるぞ」



そう言った海里は、今まで見た海里の中で一番格好良かった。


あたしの心臓がトクンと高鳴った。



「わっ!」


「…行くぞ」



いきなり持ち上げられては、走り出した海里。



あたしの耳には何も聞こえなかった。


歓声もアナウンスも、蝉の鳴き声も。



ただ、真っ直ぐな海里しか見えなかった。



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