【完】あたしのとなりの不良くん
「うおおお!」
隣を見ると、海里が百円玉を持って、上に上げていた。
「ちっ、千尋見てみろ!」
あたしの顔のすれすれのところまで押し付けてきた。
「ちっ、…近い」
こんな近くじゃ、見えないよ…。
「お、おお。ごめん」
「うん」
「ほら!」
そう言って、百円玉を親指と人差し指に挟んで差し出してきた。
「ワースゴイ。アノボタンハドコイッタノー?」
これ、あたしの百円玉だし…。
そんなに喜んで貰えて、きっと百円玉も幸せだよ…。
あたしは海里に聞こえないように、乾いた笑いを吐き出した。