威鶴のmemory
優雨さんは、私が買ってきたチョコレートを隠そうとしたけれど、隠し事は私には効かない。
だって人格が吸収されたとしても、能力は消えない。
異常な聴覚だって健在だ。
2時間くらいを使って、チョコレートクッキーを作った。
途中で優雨さんが何回も邪魔──様子を見に来ていたために、少し時間がかかりすぎたところもあるけれど、なんとか無事に完成、袋に詰めた。
さて、明日はついにバレンタイン。
鼓動が速いのは、緊張か、期待か。
トーマは喜んでくれるだろうか?
朝になると、とんでもない眠気に襲われつつ目が覚めた。
五時間睡眠……なのに。
今までは三時間程度でも余裕だった。
だって人格が2つあって、片方が起きてる時にもう片方で眠れていたから。
でも、もうそんな異常体質じゃないから、普通に精神も疲れるようになったし、能力にバカでかい体力を持っていかれるから、最近は睡眠8時間だった。