威鶴のmemory
君のいる未来
あれから何年も月日が経ち、今ではあの仕事をしていたことがとても懐かしく感じる。
トーマと知り合ってから、私の毎日は幸せだ。
幸せすぎて、本当にいいのかと心配になるけれど、トーマはいつも、大丈夫だと声をかけてくれる。
「ママー?」
「なあに?舞衣」
「るーちゃんがどっか行っちゃったー」
今では私も二児の母に……って、え?
「琉衣?琉衣どこ行ったの?」
「迷子の子がいるって『言ってる』」
「……」
この大型ショッピングモールの中を探すとなると厳しいものがある。
だって聴覚を使って娘の場所を特定したくても、この人数の中じゃ使えない。
「あの子はまったく……」
「ママ、いつも行く占いのとこに行こう?10分後に来るから」
「そう。ありがとうね」
現在、双子の娘は4歳。
名前は舞衣と琉衣。
そして、遺伝でもしたのだろうか。
舞衣には未来予知が見える。
そして琉衣は人の心の中の言葉が聞こえる。
そしてお互いにテレパシーで会話が出来る。
「あ、迷子の子のママ探してっていわれちゃったよ、ママ」
「じゃあベンチ座ろうか。探してあげて」
「うん!」