威鶴のmemory


ベンチに座り、舞衣はすぐに目を閉じた。

彼女は『今』の店内を探る。

私にはどういう理屈でわかるのかはわかっていない。

まだ幼い彼女たちもうまくは説明できないようだ。



でも、出来ると言ったことはできる。



「よし!瑠衣に場所伝えたから、終わったらすぐこっちに来るよ」



にこっ

そう、普通の子と何の変哲もない舞衣は笑う。



しばらくすると、瑠衣と合流することができた。

迷子にはならなくて便利だけど……やっぱり娘が消えると焦る。



「もう、勝手にどっかいっちゃわないの!わかった?」

「はーい」

「じゃあパパのところに帰ろうか」



今は家で寝ているトーマ。

でも家に帰る頃には起きてることを、私は知っている。



トーマの瞳を見つめて、知りたい未来を見ることが、毎日の日課になっているから。



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