威鶴のmemory
「……悪かったっつってんだよ」
「トーマ。もっとソフトに!」
「これが俺の限界だ!」
……いや、いつもの私に対しての方が10倍優しくて甘いから。
「……高校ん時も。勢いで暴れて家出てったけど……違うんだ、本気じゃなかったっつーか、いや、あの暴れてる瞬間は本気だったけど、後で後悔したっつーか……」
「透眞……」
「家は嫌いだったけど、本当の意味では嫌えなかった。俺だってよくわかんねーんだよ、嫌いなら帰って来なくてもいいと思うはずだ。でも、帰らなきゃいけなかった」
「……」
「謝って、壊れたものを……心っつーか、絆っつーか、そういうのを直さなきゃいけないと思った。……いや、違う。直したかったんだ」
トーマの、不器用な思いの伝え方。
それでも、なぜだか心に響いてくる。
あぁ、家族って、いいな……。