威鶴のmemory

「あの頃は全面的に俺が悪かった。反抗期の延長でとんでもないことしちまった。だから家族のせいじゃない。親父はムカついたけどな」

「そうね、ビンタはしておいたわ」
















え？

なんだって……？



「……ビンタ？」



トーマも、そこにひっかかったらしい。



「……遥香、聞いてねーぞ？」

「えぇと、あの衝撃は胸の奥にしまい込んでおこうかと、思って……」



ということは、家族ですら驚くほどのことだった、らしい。

確かに、さっきまでトーマにビビッていた、気の弱そうなお母さんが、お父さんをビンタするなんて……考えられない。

普段もないらしい。