威鶴のmemory
もう、スルーしていだろうか?
3回目ともなると、そろそろ疲れてきた。
いちいち反応する気も起きなくなっていた。
トーマも同じ気持ちなのか、ため息を一つ。
「いっそもうそういうことにしちまうか……」
「……なんだって?」
「だからつまり、けっ──…ンむぐっ!!」
私は全力でトーマの口を両手で押さえ込んだ。
もう、押し倒すくらいの勢いで。
「そういう大切な言葉は、もっと別の所でちゃんとしたシチュエーションで言ってほしいですっ!!」
「んむぐっむぐむぐっ……ぐぐっ……!!」
「え、なに……あ、ごめん、鼻まで押さえてた」
「ぶはっ……殺す気か!」
「私はまだ殺人鬼になるつもりはありません」
……あれ、これどこかで聞いたことのあるセリフだ。
トーマを放って記憶を探す。