威鶴のmemory
私とトーマは、リビングに通された。
二人並んで、ソファーに座る。
「どうぞ、あたたかいお茶です。外は寒かったでしょう?」
「はい、雪が降りそうなくらい。……ところで、遥香さんしか居ないんですか?」
「いる」
私の質問に答えたのは、今まで黙っていたトーマだった。
「母親、どうせ隠れてんじゃねーの?」
「……うん」
なるほど……。
気配の正体はお母さんだったのか。
気配は気配でも、私の場合は聴覚で感じた気配。
この部屋からは、少し距離がある。
「……チッ」
舌打ちをするトーマ。
今日は……というより、家に着いた頃くらいから、機嫌が相当悪いのを感じる。