威鶴のmemory
そんな悩める青年Tのもとに、一本の電話が。
い……依鶴か!?
携帯をひっつかんで相手を確認する。
──期待するだけムダだった。
冷めた目で電話に出る。
「あ?」
『なに、上司に対してその態度。依鶴じゃなくて残念だったわね』
「何の用だよレイン?」
かけてきたのはレインだった。
仕事か?
……仕事、だろうな。
『パートナーの話、し忘れていたわよね?』
「パートナー?」
……そうか、入院していて保留だった。
威鶴が抜けた今、俺には次のパートナーが必要だったんだ。
二人一組のペアで依頼を遂行するBOMBにとって、これは必要不可欠。
『ということで、10時事務所ね』
「あぁ」
……おかしいことに気付いた。
いつもならメールで来る程度の内容なのに、電話?
急用でもないのに?