威鶴のmemory


「レイン」

『何?』

「本題は何だ?」



聞いている限り、急用じゃない。

だからと言って声が聞きたいだけ、とかそんな事はないだろう。

絶対にな。



となると、特に意味はないのか?



『本題?あー、本題、ねぇ……』



なんだ、その含みを持った言い方は……。





『さて、私は今、どこに居るでしょう?』

「は……?」



いきなり訳の分からない質問をされ、眉をひそめる。

どこ……って、この時間なら。



「BOMBじゃねーのか?」

『ふふっハズレよ』



その直後、カタッという小さな音が遠くから聞こえた。

……電話越しに、遠く?



「誰かと居るのか」

『あら聞こえたの?』



クスクス笑うレインに、いい加減面倒になってきた。



「切っていいか?」

『あら、もう切っちゃうの?残念ねぇ』



電源ボタンに手をかけた時だった。
< 38 / 111 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop