威鶴のmemory
二人の時間
今日は依頼の話はせず、紹介だけで終わった。
いや、紹介だけなら呼び出す必要もないだろう。
レインの目的はきっと説得の場のためだったんだ。
チョコの迎えの車にソラが乗ったのを見送り、俺と依鶴は二人だけで久々な道を帰る。
「なんだか……久しぶり。BOMBも、この帰り道も」
「記憶が残ってるだけで、久しぶりって感覚があるのか?」
「私は確かに体験してないけど……記憶って、映像で残るものだから。音声的なものは、意味で覚えてる感じで……」
「ならよ、」
──どうして、今だったのか、俺にもわからない。
ただ、今だって思った。
聞きたかった。
曖昧には、したままではいたくなかった。
「お前からの告白、俺からの告白も、覚えてんのか?」
俺のもんだと思った。
一度離れて、お前はお前であると同時に、あの日の依鶴とは別人であることも確かだ。
あの時の気持ちは、今でも通じるのか……それともまっさらになくなったのか。
聞くのは怖い。
もう一度振り向かす自信もある。
それでも──拒絶は怖い。