威鶴のmemory


「なー、トモ」

「なんすか?トーマさん」



俺は、初期の頃から一緒にこのチームを作り上げてきたトモに、相談じゃねーけど、今の気持ちを話した。



「空っぽだ」

「腹っすか?肉食いにでも行きます?」

「ちげーよ」



求めても求めても、手に入らない何か。



「満たされねんだよ。喧嘩しても女食っても」

「……あぁ、心的なアレですか」

「女みてぇで嫌だ、その言い方」

「何言ってんすか、トーマさん。男にも心はあって、欲望があるんじゃないすか」



欲望……か。



「その欲望がなにか、わからねぇ」



トモは、紙パックのカフェオレをちゅーっと吸い込んだ。

リーダーが話してるっつーのに、なんだよそれ。

< 55 / 111 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop