威鶴のmemory
家出
「と、透眞……」
「あ?」
「ひっ!!」
あからさまに怖がる母親、うぜぇ。
俺は何もしてねぇし、第一お前が産んだんだろ?
満たされた気持ちが吹き飛ぶ。
「……あ、あの、学校……」
「……チッ」
「い、あ、その、呼び出されたのよ……。ちゃんと行って──」
「うぜぇ」
「……」
悲しみに満ちた顔で、怯えて、逃げて行った。
でもいつも黙っているはずの親父がこの日初めて俺に口出した。
「お前はそろそろそのダラシナイ生活をやめろ。まだ続けるなら出ていけ。目障りだ」
暴れてから、出て行ってやったさ。
親父の望むように。
両親とも俺のことを何もわかっていないと、ムカついた。
でも、俺もわかってなかったんだ、両親が何を考えているかなんて。